生まれる前の子は自分で親を選ぶというが、結果がわかっていれば選ぶことはなかったハズだ。


「そう。答えなんてなかった……。俺はただこの世に生まれただけで疎ましがられ、怨まれていた。それなら、理由なく人を怨むことなんて、ごく自然なことだろ?」


晴道の視線があたしへ向かう。


あたしは下唇を噛みしめて晴道を睨み付けた。


晴道はいつから陽大のことを怨んでいたのだろう。


そう考えると、綺麗だった過去の思い出たちが急速にモノクロに変化していった。


あたしたちは晴道の暗い気持ちを知らず、のうのうと過ごしてきたのだろう。


少しでも誰かが気が付いて、手を差し伸べていれば、未来は変わっていたかもしれないのに。