「あぁ。家族みんな仲が良くて、友達もたくさんいて、スポーツもできて、可愛い恋人まで」


最後の言葉にあたしは少しだけうつむいた。


確かに、晴道から見れば陽大という存在は憧れの的だったんだろう。


「羨ましくて……妬ましかった」


晴道はそう言い、拳を握りしめた。


そこには陽大へ対する怒りが滲んで見えている。


「どうしてここまで違うのか、どうして俺はこんな目に遭うのか、ずっと疑問だった」


「そんなの、答えなんてないのに」


そう言ったのはアユだった。


生まれた場所が違った。


ただそれだけだった。