ヴァーチャル・リアリティ

だけど、その気持ちの使い方を誤ったのだ。


こんな風に友達を建物の中に押し込めて出られなくするなんて、間違っている。


「チケットは俺が作って陽大に送り付けた。陽大ならきっと素敵なメンバーをそろえてくれると思って」


「VRの映像が陽大の部屋と似てるっていうのは?」


あたしはそう聞いた。


流れて来た音楽もそうだ。


全部が陽大に近いものだったから、疑ってしまった。


「俺は陽大に憧れてた」


晴道がポツリと呟くようにそう言った。


「憧れ?」


あたしは聞き返す。