ヴァーチャル・リアリティ

学校を卒業後、晴道は1人暮らしをしながら仕事をすることになっている。


そうなれば晴道を縛るものはなにもなくなるのだ。


「俺も最初はそう思ってた。1人暮らしをして、自由になる。ようやく大人たちから解放されるって……でも、違った」


晴道がそう言った瞬間、映像の中にさっきの女性が現れた。


随分年を取り、シワが増えている。


これが晴道のお婆さんということだ。


「晴道、あんたはしっかり家にお金を入れなさい」


映像の中の女性は小さかった。


晴道の方が身長が大きくなり、おばあさんは腰が曲がっていたからだった。