壮絶な幼少期を経験してきたとは思えない。


「俺にとって学校は天国だった。みんなと一緒にいることができて、初めて心から笑う事ができた。高校に入学してからはバイトもして、自分の金で自分を腹いっぱいにすることもできた」


晴道は本当に嬉しそうに言う。


ごく普通の日常が、晴道にとってはキラキラと輝き続けていたのだろう。


「だけど、それももうすぐ終わる」


途端に晴道の表情が曇った。


俯き、悲しみに耐えるように肩を震わせている。


「もうすぐ、卒業しなきゃいけない」


「でも、それでお前はもっと楽になるはずだ」


苦し気な声でそう言ったのは悠太郎だった。


その通りだ。