全身の痛みはいつの間にか消えていた。


寒さも消えて、今は心地よささえ感じている。


映像は切り替わり、見慣れた校舎が現れていた。


あたしも通っていた小学校の校舎だ。


賑やかな校庭に、並べられた勉強机に、友達との楽しい時間。


さっきまでの苦痛はまるで嘘のように、あたしの心はおだやかだった。


それでも、嫌いな時間はあった。


すべての授業が終わり、担任の先生の挨拶も終わり、帰宅時間を告げるチャイムが鳴る。


それはあたしにとって、地獄の再開の合図だった。


家に帰ればまた腕を焼かれる。


コップや皿を投げつけられ、食事もロクにとれなくなる。


それがわかっていたからあたしの動きは鈍かった。