「こっちへおいで」


女性はそう言い手招きをする。


この凍えそうな寒さの中のいるよりは、家の中にいる方がマシなはずだった。


しかし、あたしの足は重い。


怪我などしていないのに、ズルズルと引きずるようにして玄関まで移動して行く。


「寒かったね」


あたしの肩を抱いた女性がそう言い、後ろ手にドアをピシャリと閉めた。


その音がまるで死刑宣告のように感じられて、体がすくむ。


どうしてこんなに怯えているのかあたしにはわからなかった。