部屋が消えたと思えば、間髪入れず景色は切り替わる。


今見せられている物がいったいなんなのか考える暇さえなかった。


実際に自分が殴られているワケでもないのに、心がひどく傷んで悲鳴を上げている。


次に現れたのは雪景色だった。


途端に体感温度が下がって行く。


さっきまで熱くも寒くもなかった空間にいたのに、今のあたしは凍えていた。


周囲を見回してみると、見たことのない古い家屋があった。


あたしの視点はさっきよりも少し高い位置にあるようだ。


あたしは両手で自分の体を抱きしめて、これ以上体温が奪われないようにさする。


その時、ガラガラと音がして玄関の引き戸が開いた。


出て来たのはシワの深い女性だ。


さっきの人とは違う。