「結愛、ゴーグルなんて付けないで」


アユにそう言われても、気になることがあった。


「もし、タイムリミットがあったら?」


あたしの声にアユと悠太郎が視線を向けた。


その表情は恐怖に歪んでいる。


だけどきっとあたしも2人と同じ顔をしていることだろう。


本当は怖くて怖くて仕方がない。


だけど出口はどこにもなくて、アナウンスに従うべきだと本能が告げていた。


あたしはゴーグルに手を伸ばしていた。


「まじかよ……」


悠太郎が顔を歪めながらも、右手をゴーグルへ伸ばす。


アユは両目に涙を浮かべながら、左手を伸ばした。


なにもしないままタイムリミットを迎えるよりは、最後まで戦いたい。


その思いで、あたしはゴーグルをつけたのだった……。