あたしと晴道が少しでも棒を動かせば、その刃は陽大の肌を切り裂くだろう。


陽大の額に大粒の汗が浮かんできた。


「本当だ結愛。信じてくれ」


陽大があたしへ向けて懇願する。


胸が握りつぶされるような痛みを感じた。


「あたし、陽大の事が好きだったよ」


そう言うと、陽大が少しの期待を秘めた笑顔を浮かべた。


「俺もだ。俺もずっと好きだった」


きっと、お互いの気持ちに嘘はない。


どうしてもっと早くに言葉にしなかったんだろう。


口に出さなくても両想いだし、キスもしているし、このままでいいと思ってしまっていた。


けれどこうして口に出してみると、好きという気持ちはより一層強く、深くなるのだと、今初めて知る事ができた。