その表情はとても真剣で、処刑バッヂが入っていたのかもしれないと思わせた。


あたしは周囲を気にしながらも立ち上がり、麻央と2人で教室を出た。


こっそり声をかけて来ると言う事は、あまり周囲に聞かれたくないんだろう。


女子トイレの個室に入ると麻央はようやく話し始めた。


「処刑バッヂが入ってた」


スマホで照らし出される麻央の顔は青ざめている。


「そうなんだ……」


「ねぇ、これを持ってたらあたしは処刑されるんでしょ?」


その問いかけにあたしはゴクリと唾を飲みこんでいた。


バッヂを持っている子は体育館にある道具で処刑される。


「そんなこと、あるはずないよ」


あたしは麻央にそう答えた。


「あたしたち、友達じゃん。友達を処刑するなんて、絶対にないから!」


しっかりとそう言い切ると麻央はホッとしたようにほほ笑んだ。