「モジャ復活してた。」

 沙羅の耳打ちに居ても立っても居られなくて駆け出した。
 階段を上っているのは、確かにモジャだった。

 髪の毛の短さはそのままだけれど、寝癖だらけでボサボサ頭に戻っていた。
 ご丁寧に変わらないダサ眼鏡をかけて、純白とは言い難い白衣に身を包む。

 本当にあの頃へ逆戻りしたみたいだ。

 周りは中身があの佐久間さんだって知っている。
 前みたいにいくはずないと思うのに、戻ったのは見た目だけじゃなかったようだ。

 無愛想と不機嫌さは輪をかけて酷くなっていて、誰も佐久間さんに近づく人はいなかった。