「大好き、聖。」


初めて名前を呼んだ。


満月の綺麗な夜だった。


どちらからともなく、顔が近づき、キスをした。


「月が綺麗だな。」


「うん、綺麗。」


私達らしい会話だった。


こんな言葉、どこかで聞いたことがあったな。


思い出せなくて、なんとなく雪村くんを見つめる。


お互いにふふっと笑ってもう一度月を見上げた。




<完>