「加納」
「あっ、光輝先輩。お疲れ様です。今からですか?」
いつもそんな風に光輝先輩は、私に声をかけてくれたっけ……。

光輝先輩に会ったのは大学1年の時、サークルに悩んでいる私と友達に、ラグビー部のマネージャーどう?と声をかけてきたのが先輩だった。

特にやりたい事もなかった私は、光輝先輩の笑顔につられて入部した。


今思うと。かなり不純な動機だよね……。
そんな事を思い出しながら、運ばれてきたサンドイッチを一口かじると、小さく息を吐いた。

私はいたって普通のどこにでもいる女子大生だった。

帰りには流行りのお店に並び、月並みにおしゃれもしたり、部活にも励んだ。

取り立てて美人ではないけど、唯一気に入っているくっきりとした二重の化粧に力を入れていたころだ。

そして、普通に恋をしていた。

そう、光輝先輩に。