そして、失恋をする

「9月か……」

僕は、小さくつぶやいた。

8月から9月になったからといって、大きい変化は僕にはない。ただ、いつも通りの日常を過ごすだけ。

「けど……」

小さくつぶやいたのと同時に、僕の脳裏に千夏の姿が浮かび上がった。

僕のかけた方がダメだったら、千夏はこの世にはいなくなる、唯一いつもの日常と違うとしたら、千夏と会えなくなるということ。

僕は日めくりカレンダーのはしを指で軽くつまんで、8月から9月にぺらっとめくった。

ーーーーーーチンッ!

そのとき、台所からトースターの音が僕にの耳に聞こえた。

僕は、スタスタと台所に向かった。戸棚からてきとうに白い食器を取り出し、トースターの扉を右手で開けた。表面がきつね色に焼けた食パンが見えた。香ばしい焼けたパンの匂いが、僕の鼻腔をくすぐる。