ねえ、もう…そろそろ帰らない?
隣でまだグラスを傾けてる彼女に、
おそるおそる言ってみた。
やだ。
…ちか、もう…だいぶ飲んだよ?
だから?
もう…かえろーよぉ。
僕の彼女は、僕より…男前で。
会社では、バリバリと働いて、
泣き言も言わず仕事第一で…
とっても強い。
僕と、ちかは…幼馴染で。
昔から、イジメられてる僕を守ってくれた。
あたしがいなきゃ、何も出来ないから、
と、僕の彼女になってから…。
もう2年が経つ。
相変わらず、僕は守られてばかり…。
今日、ちかが荒れてるのも、僕のせいだった。
僕は、大好きな古着ショップの雇われ店長を
やっている。
若い子のお客さんが増えてきたせいか、
一度囲まれると、なかなか離してもらえず。
今日は、お手紙までもらってしまった。
こんな僕だから、うまくかわせずに
赤くなってるところに、ちかがやって来て。
客を装って、これ見せて!と、
呼んでくれたから…なんとか、逃げ出すことが
できて。
ホッとしてたら、今度は、ちかが怒り出して。
いつまでも女のコたちに囲まれてないで、
ちゃんと仕事しなさいよ!
全く、ナオくんは…いつも、ヘラヘラして!
や、ヘラヘラしてないけど?
してますよーだ!ふん。
そんなこんなで…今に至るんだ…。