「リアムや周りの者たちはそれを回避しようと一生懸命だが、私とドラゴンが犠牲になればこの国は助かる。簡単な事だろう」

「そうじゃないよ」
アレックスの腕の中で必死で訴える私。

ちがうよ
それは違う。誰も犠牲になってはいけない。あきらめちゃダメ。

「でもね、とある占い師がこう言った。『海から救世主となる女性が現れる』とね……気晴らしに言った言葉だと思うがリアムはそれを信じ、時間を見つけて毎日海へと出かける」

「だから私と思ったの?」

期待して期待して現れたのがポンコツの魔法も使えない私だったから、リアムはガッカリして機嫌が悪かったのかもしれない。知らないで私も態度悪かったかも……反省しよう。

「そうだね。でも私はリナを巻き込みたくない。リアムには指輪の話をしないでもらいたい。リナを危険な目に会わせたくないからね」

「アレックス」

優し過ぎるよアレックス。
そして
あきらめが早すぎるよ王様。

アレックスの腕の中で涙を流していると

「王さ……リナ」

凛々しい軍服姿のリアムが現れ、アレックスの腕の中にいる私を見て驚いていた。

あ、勘違いされたかも。