目が覚めても
私はお姫様ベッドの上だった。

心にモヤモヤを残しながら起き上がり、窓から外を覗くと雲ひとつない青空で、山の緑が目に映えた。山が呼吸をしているように感じる。街はどっちだろう?反対方向かな。見えるのは空と山と城の庭園。美しいバラ園の香りがここまで届きそう。

空気が澄んでいた。
こんな気持ちの良い朝は久し振り。

テレビの音も車の音も聞こえない。
電化製品もSNSもないクリアな世界。

聞こえてくるのはカキンカキンと金属が重なる剣の音。

剣?

私の部屋の真下で数人の男達が剣の練習をしていた。
早朝練習か?
身体を伸ばして覗いたら、リアムが上半身裸で部下に剣の稽古をつけていた。

強っ!
かなり強い。

身のこなしも軽く
笑顔を見せながら次から次へとやっつける。

いい身体してる。
うっすらかいてる汗が色っぽい。
ひとつにまとめたブラウンの髪が朝日に輝く。

イケメン……だけどドSは嫌い。

私は昨日シルフィンから教えてもらったお風呂へと続く扉を開くと、そこは想像と違ってた。

修行僧が滝に打たれてるようなお風呂場。バスタブも何もない。
そういえば
ここに来てからトイレに行きたいと思わない。異世界はトイレもパスなのか。

私は全て脱いで天井から流れる滝の中に入り込む。修行の世界だ。
でもその中に入ると
あら……いいお湯加減。
水は柔らかく優しく身体にまとわりつき、シャンプーも何もいらない便利な世界……滝だけどね。

身体をさっぱり洗ってから
近くにあったバスローブをひっかけて部屋に戻る。

これから朝食
そして街に案内されて
王に謁見して
ドSリアムに意地悪されて

いつ家に帰れるのかな
覚悟決めなきゃいけないのかな

スタバのラテが飲みたい。