「……奈。里奈?」

「えっ?」

「どうした?大丈夫か?」

会社から近い場所にある大きな公園。
今日はハロウィンの夜で、毎年この公園にもコスプレ姿の人達が集まるから、ハロウィン気分を味わう為に会社から歩いてここの公園を横切り、予約していたレストランに行こうとしていた私達。

明るい街灯の下には見事なコスプレをした人達がいっぱいいて、これから街に繰り出そうとしていた。可愛い子供達のお化けグループもいたから、さっきまで勇翔と楽しく会話しながら歩いてたのに

どうして私は今、涙を流して後ろばかりを気にしているのだろう。
何度も振り返り確認する私を見て、不思議そうに彼が心配していた。

「誰か知り合いでも?」

「ううん。違うの」
さりげなく涙を手で拭いてから、また周りを見渡す私。
私は何を捜しているのだろう。自分でもわからない。

「里奈?気分でも悪い?」
心配性の恋人が私に問いかける。

「ごめんなさい。何でもないの」
本当に何でもない。だって自分で原因がわからないのだから。
わからないけど
何か大切な物を失った気がする。

寂しくて苦しくて
心の半分を持って行かれた気分。
喪失感が半端ない。