「どうしたの?」
お偉いさんたちの中で自分の部下を見つけ、驚きながら手招きをする課長。
「すいません。あの……経理課長を捜してまして……」
小声で言うと
「ここまで?仕事熱心だね。経理の小沢課長は……いないかな?」
一生懸命周りを見てくれるけど
ごめん課長。
小沢課長は出張中です。居ません。
「申し訳ありません。戻りますので」
逃げて別の場所を探そうとしていると
「いいよ。今、副社長が来るから一緒に出迎えよう」と、優しい言葉をかけてくれた。
あなたの部下でよかったよ。
ありがとう課長。
私はそのまま頭を下げて、課長の後ろに移動すると
何やら奥の方で動きがあった。
来た!
絶対来た!
副社長のアレックスが来た!
さて
どんな顔でお出迎えしましょうか。
こんないい場所でお出迎えなんてラッキーです。
社長と一緒にこちらに歩いてくる気配。
機嫌良く声も明るく楽しそうな雰囲気。
私は少し背を伸ばし
ご機嫌な社長の後ろに立つ男性の顔を捜す。
久し振りだね王様。
この状態をどう説明します?
私はあなたの登場を待ってましたよ。
全て話して下さい。
リアムはどこにいるの?



