波の音が聞こえる

母親の胎内にいるような
遠く懐かしい音が一定のリズムを保ち心地よい。

潮の香りも気持ちいい。
手足を伸ばして地球に身体を預けてるような解放感。

大切な会議があるけれど
もう少し
あと少しだけ目を閉じていたいけど

誰かが私の身体を揺すっている。
誰?
ちょっと力が強いんじゃない?
ふらつきながら身体を起こしゆっくり目を開けると「ひっ!」って、自分の声とも思えないような高い声が出た。

目を覚まして
いきなりの言葉が『ひっ!』で申し訳ないけれど

まさしく『ひっ!』しかないだろう。

まだ私は夢の途中にいるらしい。

だってここは会社じゃなくて海辺で、目の前には白い馬がいて、もっと私の目の前には乙女ゲーに出てくるような、イケメン外人騎士がいるのだから。

イケメン騎士は片膝を地面に着け、私に向かって頭を下げた。

値段の高いアウトドアなホストクラブ?

じゃないよね。