「赤ずきん可愛い赤ずきん可愛い赤ずきんの天使」

軽くゲシュタルト崩壊起こしそうなんだけど。何でこいつ俺のとなりに座ってんの?

何で二人仲良くお花畑にいんの??

「はぁ~もう死にたい」

「そうか。頑張れ」

俺は頼まれても食わねぇから。

「貴様ぁぁぁぁぁぁ!そこは、『死にたいなんて簡単に言うなよ!』とか言うところだろ!何を応援してるんだこの外道!」

止めてほしかったのかよ。いや、赤ずきんがあまりにもしつこいせいで、感覚麻痺してた俺も悪いか。

「てか、何で死にたいんだ?赤ずきんと喧嘩したならそっこく仲直りしろ。そして帰れ(永遠に)」

猟師はわざとらしく頭を抱える。

「赤ずきんが、浮気してるかもしれないんだ」

「赤ずきんが?……いくらあいつでも…………」

あり得るから否定出来ねぇ。いや、いくらなんでもそこまで腐ってないとはおもうが。

「最近、夕方になると決まって外へ行くんだ。で、後で誰と会ってたのか聞くと、毎回落ち込んだように『狼さんのタワシ』って言うんだ。間違いなく浮気のせんが黒いと思う」

……………どう聞いても俺のことだろ。ここ最近は夕方にあいつ来るから。

「そのタワシ狼が浮気相手で間違いない!!」

だから俺だって。つーか、何でこいつ気づかねぇの?

「あのさ、それ浮気じゃなくて、俺に―」

「やはりお前かー!!このドロボウ狼!!」

「俺の話を聞けぇぇぇぇぇぇ!!」

また猟師がグラグラと胸ぐらを揺すってきた。

「人の恋人に手を出して、最低だとは思わないのか?!確かに赤ずきんは可愛い!けど赤しか着ないくせに靴は茶色じゃ嫌だとか、色気なんてどっかで捨ててきて、家では平気でポテチつまみながら寝っ転がってる女だ!」

最悪な一面をペラペラ話すなよ。てか、何?お前も実は赤ずきん嫌いだったの?

「だが、俺はそんなところも含めて愛せる!お前は相手の全てを受け入れる覚悟があるのか?!見た目だけで受け入れるようじゃ、真の意味で相手を愛せないぞ!愛と言うのは―」

「しつけぇぇぇぇ!だから違うっつうの!!」

さすがにムカついたので、俺は頭っつきをした。