「ピロリろりーん!あなたは当選̪シまシた!」

 早朝だった。

 いつもの通学路だ、いつもの朝だ。

 顔も名前も知らない見知らぬ少女は、朝から元気の塊を押し付けてきた。

 「…間に合ってます」

 「勧誘か何かと思ってます!?詐欺でも何でもないです!迷えるあなたを導きにきました!」

 腕を捕まれ振り返れば、期待の眼差し。

 「…えーと…誰ですか」

 「悪魔だけどあなたから見たら天使です」

 これは関わり合いにならないが正解だった。

 「待って待ってまってー!本当だから!話だけでもー!」

 親切の押し売りよりひどい、性質の悪い中二病の押し付けだった。