外に出ると本当にいい天気で、ぽかぽか陽気に背伸びをしたくなる。
水族館前に広がる芝生広場のベンチに座って休憩を取りつつ、イルカショーで濡れた服を乾かそうと手足を伸ばした。
青空と心地よい柔らかな風と、そして隣には優しい彼。

さっきプレゼントしてもらったイルカのぬいぐるみを袋から出すと、嬉しさで自然と笑顔になった。

「ぬいぐるみほしがるところが詩織っぽいね。」

「……子供っぽいよね。」

「ううん、可愛いと思う。」

何か今日はやたら「可愛い」って言ってくれる。
嬉しいんだけど恥ずかしくて、どんな表情をしていいかわからず、イルカのぬいぐるみに顔を埋めた。

「いつも詩織に先を越されちゃって、さっきも危なかったんだけど……。」
「……?」

飯田くんが何を指して「先を越された」と言うのかわからなくて、埋めていた顔を少しだけ上げて彼を見る。
視線がかち合って、真剣な目をした飯田くんから目が離せなくなった。

「俺と結婚してくれないかな?」

え、今何て?
私はイルカを抱きしめたまま、言われたことを頭の中で反芻する。

ちょっと待って。
もしかして、まさかのプ、プロポーズ?