「あ…あの。大丈夫ですか…?」

俺は、思わず声を掛けてしまった。

「あっ…!大丈夫です。少し嬉しくて…!」

「嬉しい?」

俺は、その言葉に怪しげな顔をした。

「あっ!桜の花が満開になって嬉しくて…!!」

「そうなんですか!」

なんだ、桜か。

「ふふっ。」

すると、彼女は突然微笑み始めた。

「?どうかしましたか?」

「なんだか、昔彼氏とここで桜を見たのを思い出してね。」

「そうなんですか。」

俺は、そのことについてあまり強く聞かなかった。

なぜなら、その時の彼女の顔がとても悲しい顔で今にも泣きそうな顔をしていたからだ。

「あ…あの。」

「あーーーーーー!!!」

突如彼女は、でかい声でしゃべり始めた。

「が…学校!!時間やばいんじゃない!?」

「やっべ!!」

俺は、腕時計出時間を見て遅刻寸前に気づいて慌てて走りだした。

「あ…君、名前は……。」

後ろを振り返るとさっきまでいたはずの彼女がいなかったのだ。