高校生活最後の年になった。

生き慣れた桜通りを真っすぐ歩き、今日は調子が良かった。

手を大きく伸ばし、空を見上げる。

風に吹かれて桜の花びらが舞い、ゆらりゆらりと上から下へ。

その瞬間、さっきまで目の前に人はいなかったはずの場所に人が立っていた……。

その時、彼女が頬を伝って涙を流している意味を俺は知る由もしなかった。