「酷い顔して無理して学校来て、恥ずかしいからって保健室に居座る美人さんはいる?」



 いきなり保健室のドアを開けて、でかい声を出す男子。ああ、誰だかわかっちゃった。



「おーい」



 私のことだろうか。でも、美人ではないから別人だと思いたい。


 返事をしたら間違いなく面倒なことになる。あいつはトラブルメーカーだ。



「楠木《くすのき》亜由菜《あゆな》はいらっしゃいますか?」



 私の名前だ。
 やっぱり私を捜しに来たんだ。


 でも反応したら、この真っ赤に腫れた目を見られてしまう。今、あんたには会いたくない。


 広沢《ひろさわ》拓海《たくみ》っていう幼なじみには会いたくない!



「亜由菜、出てこいよ」