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後日、誰もいない夕方の教室。
それまでの騒動を謝罪した拓海だけれど、
「俺は本気だからな」
なんて言ってくれる。
拓海は、いつから本気だったんだろう。
「私……」
「いーの、いーの。答えるな。ずっと待っててやるから。たくさん恋してこいよ!」
いつかと同じ言葉を言って、私を安心させてくれる。
「……しないよ」
「え?」
「恋なんてしない」
拓海が悲しそうな顔をする。
でも、私は決めたから。
「私は拓海がいいの」
「俺?」
「拓海の幼なじみでいたい」
言ったら、拓海はもっと悲しそうな顔で見つめてくる。
「待っててくれるんだよね?」
私は拓海に小指を突き出す。
どうしてかわからないけれど、涙が止まらなくなった。
それを見た拓海まで泣いてて、お互いに泣き虫だなんて思う。