金曜日、プレ文化祭の開幕だ。
始まるのは九時半から。
登校してきて、開始までの時間は時間は小一時間。
今日の高等部はどこも朝からバタバタと忙しない。
かく言う私も、現在あれこれと走り回っている。
「春子、これで足りそう?」
私が持ってきたのはプラコップ。
今回の我がクラスのカフェの売りは、ノンアルコールカクテルである。
これまた、ご実家が呑み屋さんな生徒が自身の興味と趣味でカクテル作りにハマるもそこは未成年。
自分で飲むにはノンアルコールでなければならず、自然とノンアルコールのカクテルも作るようになったんだとか。
その話から、今回我がクラスはそれを売りにカフェにしようということに決まり基本はややイケメンな感じのクラス男子達がシェイカーを振り、提供するカウンターと女子が給仕するテーブル席に上手いこと分けた。
回転も良くなるように、一杯飲んだら席を立つことをお願いしている。
なにせ、時間帯によっては里田くんや谷村くんがカウンター内に立つのだ。
ファンの女子に占領でもされたら、お客さんの待ち時間が長引くとのことで副学級委員長の園田さんがキッパリとルールを明確化して掲示することに決めた。
実に合理的であった。
その、一杯で席の退出をお願いする旨は入口に大きく掲げてあるしメニューにもしっかり明記されている。



