準備も着々と進み木曜日。
準備期間最終日だ。
明日の金曜日は文化祭前日で、学内の学生だけで文化祭を楽しむ日だ。
この日は高等部の文化祭だが、プレなので学内の高校生以下は見学に来れる。
幼稚部や、初等部、中等部の生徒も見学に来るので楽しい空気はあれど少し気を使う。
ここら辺はどんちき騒ぎにならないように先生方も考えたんだろう。
「これで、ほぼ準備完了かな?」
小物担当だった私たち内職班は綺麗に装飾された教室を見てちょっと満足。
予算が割と出る私立高校ならではの雰囲気がある仕上がりだ。
ちなみにケーキも紅茶もそこそこいいグレードのものが用意された。
さすが、基本ご子息ご令嬢のための私学。
「うん、これにて装飾班は作業完了です!お疲れ様でした!」
この班のリーダーだった春子が締めたので、めでたく私達は手が空いた。
そこで、まだ作業が終わていない衣装係などのお手伝いに回りあっという間に一日が終わった。
「なんか準備期間に入ってから一日が早くない?」
思わず漏れた一言に、背後からクスッという笑い声がする。
「山野、お疲れ様」
振り返れば、バインダーにたくさんのプリントを抱えた里田くんが居た。
里田くんは準備期間に入るとクラスにほぼ顔を出せないほど忙しくなっていた。
生徒会がこの時期一番忙しい。



