落ち着きつつ、昼休みを迎えると私は春子と息抜きに出た。
もちろん邪魔の入らない、茶道部部室である。
文化祭は茶道部は野点なので部室は使わないので、ここ数日は昼休みはここで休憩をとっていた。
「ねぇ。なんであんなにクラスメイトは私に給仕させたがるの?」
お昼前の騒動を思い出し、私は春子に聞いてみる。
「そりゃ、咲が着たらギャップ萌えするからだろうね」
うんうんとうなずきながら、サンドイッチを食べつつ春子が返事をくれた。
「ギャップ萌え?」
小首を傾げれば、春子はニッコリ笑いつつ言った。
「綺麗系の咲に猫耳に尻尾なんて付けたら、可愛さとのギャップで周囲は萌えるに決まってるわ!」
最後の方は拳握りしめつつ、春子は力強く言った。
「ミスマッチってことじゃないの?」
「普段との落差の激しさが、そこに恥じらいでもあれば益々萌えるってもんよ!」
うん、そこらへん良くわかんない。
とりあえず言えるのは……
「とにかく、あれは着る気ない」
ブスっと返した私に春子は仕方ないって顔をしつつ答えた。
「まぁ、そこはちゃんと咲は係も裏方だしいいんじゃないかな。咲の主張は曲げなくても」
そうして、昼休みを終えると教室に戻り再び内職作業を続けてこの日は終わったのだった。



