クラスでは谷村くん等のお祭り大好き男子達が率先して大きなものや重いもの等の作業をしていた。
ちなみに、我がクラスは喫茶店だそう。
私はもちろん裏方に徹する。
絶対給仕係は却下だ。
なぜって?
喫茶店のコンセプトに難ありだから。
なにしろ、衣装係のあたりを見れば私をげんなりさせるに十分な光景が繰り広げられているからだ。
我がクラスの喫茶店。
コンセプトはアニマル喫茶。
そう、動物の耳と尻尾を装備しての給仕である。
黒歴史になりかねない……
断固給仕係却下である。
そんな私の元に、衣装係の女子が声をかけてきた。
「山野さん!ほんとにやらない?絶対、ぜっったい似合うんだけど!」
そう言って彼女が手に持ってきたのは、黒い猫耳と尻尾だった。
げんなりした表情を隠さずに、私はため息とともに言った。
「ぜっったいに着ないし、給仕はしない。私は絶対裏方から出ないからね!」
そう宣言した。
私の叫びを聞いた、クラスメイト達は残念そうな顔をするのが半数以上。
だって、ちゃんと私は係決めでジャンケンに勝って裏方になっているのだ。
ここで折れるわけがない。
そんな時、大物作業していた谷村くんがこっちに来て言った。
「無理強いはしない。係決めは公平にジャンケンだったでしょ?」
ニコッと、笑って谷村くんが言うと空気が和んで場が落ち着いたのだった。



