席について、買ってきたものを食べつつ花火が上がるのを待つことにした。

「このたこ焼き、ふわふわで美味しい!」

一つ食べて言った私にふたりも気になるのか、私の手元をのぞき込む。

「咲ちゃん、一個ちょうだい!」

「どうぞ!」

差し出した私に、谷村くんは首を振って言った。

「俺手が塞がってるから、口に放り込んで」

確かに右手に焼き鳥、左手に肉巻きおにぎりという格好なので手は空いていない。

仕方なし、私はその口に一つ放り込んだ。

「ん、ほんとだ。柔らかくて美味しいね」

ニッコリ、子犬系笑顔全開での微笑みに私はタジタジになる。

すると今度は里田くんが私に声を掛けてきた。

「山野、これ美味しいから食べてみて。はい、あーん」

あまりにも自然に言われて思わず開けた口に入れられたのは、鶏皮焼き。
パリッとしていて、甘辛のタレが絡んでいて美味しい。

「ん!これも美味しい」

こうして買ってきた屋台
グルメをシェアして食べてるうちに辺りはすっかり夜の時間帯。

放送がかかり、花火が上がり始めた。

流石は有料席。
しっかり区画されて、隙間もありひと区画がそこそこ広いので花火がよく見える。

「キレイ……」

夜空に上がる、色選り取りの花火は大きな花を咲かせていた。