認めたくないと、逃げていたけれど相手が本気とあればそれは私が向き合わないのは不誠実だろう……。
ほぼ初めての状況。
考えることの難しさにそっとため息をつく。
「咲、その時その時に自分が感じたことに素直であれば、答えは見えてくると思うよ」
春子はニコッと笑って言う。
そう、この春子さん。
実は二年お付き合いしている年上の彼氏持ちである。
なんでも幼なじみのお兄さんで、大学生らしい。
現在就活で忙しく、春子も受験生のため専らお互いの家で会うらしい。
親公認の仲なんだとか。
なんだその少女漫画みたいなシチュエーションはと思ったのは初めて聞いた時だった。
ちらっと街中で春子とその彼氏さんのツーショットは見かけたことはあるのだが、あまりの雰囲気に声はかけられなかった。
だって、彼氏と一緒にいた春子はとっても可愛くて普段の雰囲気と違ったから。
これが恋の威力かと、恋をしてない私が良いなと思える二人だった。
春子の彼氏さんはそれは優しく大切に守るように春子を見つめていたから。
羨ましく思ったのは内緒だ。
そんな私にこんないきなり二人に想われるとか、恋愛初心者にハードル高いわと思うが仕方ない。
逃げても始まらないなら、向き合うしかないのだ。
だから私はまず逃げてる二人とこの夏休みをどう過ごすか考えることにした。



