家について、お茶とお菓子の用意をして部屋に着くなり言った私に、春子は笑ってあっさり言った。
「そりゃ、咲はウチらの学年のクールビューティーだもの。高嶺の花って言われてるのよ!美人系だしね」
あまりにあっさり言うので聞き流しそうになって、ん?となって言葉を飲み込むと呆気にとられつつ言葉を返す。
「私が美人系?クールビューティー?みんな目が悪いの?私は普通!春子は可愛い系だけど!」
そう返すと、春子はやれやれと首を横に振りつつ返す。
「咲は普段あまり話さず、この三年学年二十位以内をキープの特待生。口数も少なめで、趣味読書の落ち着いた美人ってのが周りの評価なの」
私の空いた口は正しくポカーンのアホ顔である。
「あまり話さないのも、読書してることが多いからで。読むのはファンタジーや恋愛ものだし。コメディ好きのただ本の世界に浸ってるオタク女子なのに!?」
そんな私の自身の暴露をよそに、春子はニヤニヤと言う。
「だって、そんなのはしっかり話したり付き合いのある人間しか分からないもの。だから咲は見た目だけが先行してて今まではアタックする男子がいなかったのよね」
と、春子は実に楽しげに教えてくれた。
「でも、今年が高校最後ってことであの二人は動き出したんでしょ。もし外部の大学受けるとなればここで離れて接点無くなるし」



