そんな裏でのやり取りなどつゆ知らず、リレーの状況に集中していると三年生の番になった。
そこまで白と赤の後に走っていた青はここで谷村くんにバトンが渡り、そこから一気に追い上げを見せアンカーの里田くんに渡る時にはトップの白とほぼ同時。
今回のアンカーはまたしても生徒会長と副会長の対決で会場はかなりの興奮に包まれていた。
デットヒートかと思えば、百メートル走とは違い生徒会長と里田くんの距離は里田くんが追い抜くとどんどん広がった。
グングン加速していくその走る姿は美しく、惚れ惚れするほどお手本になるような走り。
そうして、里田くんは圧倒的な強さと速さを見せて華麗に一着でゴールテープを切った。
「葉様、流石だわ!彼の専門は二百メートルですものね」
そんな会話をちらりと耳に挟む。
しかし、葉様ってどんな人が呼んでるのよと振り返ればそこには去年まで里田くんファンクラブの会長であった大学部に行ったはずの綾小路先輩がいた。
彼女、生粋のお嬢様だが生粋のオタクでもありその幅は広く咲とはラノベとTLジャンルで語らうお友達である。
「綾小路先輩、どうしてここに?」
そう問えば、ニッコリと笑って優雅な聞きなれたご挨拶が返された。
「ごきげんよう、咲さん。もちろん今日は大学の授業の合間を縫って葉様の勇姿を見に来ましたの」
穏やかに言い切る先輩。
そう、先輩は実にアグレッシブなお方なのだった。



