なぜか私、クラスのイケメンツートップに告られました!


そうして、体育祭までの体育は各々出場種目の練習時間を取らされる。
基本は短距離走がメインの授業だ。

短距離のタイム計測、それが済むと練習時間になる。

私と谷村くんは早速二人三脚の練習に入った。
まずは足に紐を巻かないまま、揃って足を出して肩を組みつつ走ってみる。
揃えることの練習なので、速度はゆっくりだ。

「じゃあ、くっついてる足から出して進むよ。せーの」

そんな掛け声で、足を交互に出していく。
ゆっくりなので揃っているが、この密着感が半端ない。

谷村くん、この距離感を狙ってこの競技に誘ったのだろうか……。
だとしたら、彼はかなりの策士で考えて狙ってきたんだろう。

初めての練習のこの時点で、間違えたとヒシヒシと感じる……。

里田くんの最終確認の時の突っぱねとけば良かったと後悔しても後の祭りなのであった。

かくして、やっちまったーという私の思いを置いて日々練習は続いた。

だんだんコツを掴み、早く走れるようになってきた頃。
その頃には、麻痺したのかこの密着の距離感にも慣れてしまった。
人間てのは、慣れるものなんだな……。

このイケメンの顔にも慣れて……。

顔面偏差値には、慣れるとか無理でした!
もう、イケメンは凶器だと思う……。

そんな感じで距離感と顔は別でしたとなりつつも、体育祭本番を迎えたのだった。