そんな、バレンタインの一悶着もしっかり超えて本番でもバッチリ上手くできたチョコをあげれた。
そうして、バレンタインもすぎれば卒業式も間近になる。
今日は三年生を送る会。
様々な部活がいろんな出し物をして笑わせてくれた。
大半の生徒はこのままこの学園の敷地内の大学部へと進学する。
なので、あまりメンツは変わらないのだけど。
この制服を着るのも残り僅かと思うと、なんだかちょっとだけセンチメンタルな気分になる。
この一年があまりにも色々あったから。
そんな送る会が終わればとうとう、卒業式がやってくる。
数回の練習を経て、本番当日は寒さがキツイ日となった。
「春よ、どこ行った?」
あまりの寒さに呟いたら、悠くんが笑って言った。
「すぐ、そこに来てるよ。ほら!」
悠くんが指さした先には桜の木。
その蕾は大きく膨らんでいる。
「そうだね、すぐそこだ。春からも、その先も一緒なんだよね?」
振り返って聞けば、悠くんはえ?って顔した後にフッと笑って言った。
「当たり前。俺が咲を手放すわけが無い。この先も一緒だよ」
手を繋いで、この道をこの服を着て通るのは最後。
私自身、予測してなかったこの事態。
でも、私にとっても大切な人になったから。
誰かもまたここで大切な人が見つかるといいな。
「悠くん!好きって言ってくれてありがとう」
私は満面の笑みを彼に向けた。
この先も、たぶん色々あっても一緒にいられると思う。
お互いをちゃんと見つめられるから!
Fin