そうして、スノボを終えて戻った別荘にはお母さんとお父さんが到着していた。
「あ、無事に着いてたんだ」
そう、涼さんが声をかけるとお父さんが答える。
「道が意外にも空いていたからね」
「それはなによりだったね」
そんな親子の気安い会話の奥からお母さんが飛んでくる。
「智子さん!咲ちゃん、春子ちゃん!良く来てくれたわ!今年は女子が増えて私は嬉しいわ!」
ニコニコと笑うお母さんは本当に嬉しそう。
「明日はみんなでモールに行きましょ!年末最後のお買い物しましょう!」
お母さんの有無を言わせぬほどの楽しみ様を見て私達は顔を合わせると、笑い合いつつお母さんに返事をした。
「もちろん、おとも致します」
女子の予定がバチッと決まれば男子はそれに付き合うのが鉄則なのだという、谷村家の方針により明日はみんなでお買い物にお出かけと決まったのだった。
その日の夕飯はホットプレートで焼肉パーティーになった。
たくさんのお肉と野菜とご飯が消えていく。
二十代と男子高校生ふたりの胃袋はそりゃ強靭で許容量も巨大なのだった。
そんな、食べっぶりを紫乃さんは嬉しそうに見ては追加のお肉お野菜ご飯を持ってきてくれていた。
本当に気の利く方だなと、私は感謝しつつこの日も美味しさにやや食べすぎたのだが、お肉は赤身がメインだったのでたぶん大丈夫だろう。
きっと女子の周りに赤身が多かったのは紫乃さんの采配だろう。



