「紫乃さん、明日から人数も増えて大変だろうけど頼みますね」
そう、涼さんが言えば紫乃さんは微笑んで答える。
「心得ております。ありがとうございます、涼坊っちゃま」
「紫乃さん、そろそろ坊っちゃまはやめてよ。もう二十六だよ?」
思わず苦笑してしまったという感じの涼さんに、紫乃さんはなんてことなく朗らかに返す。
「私から見れば涼坊ちゃんも悠坊ちゃんもお小さい頃から見てますから、仕方ありません」
「それもそうだね。とりあえず今年はかなり賑やかだけど、よろしく頼みます」
そうして、涼さんと智子さんが合流してからはゆっくりお茶を飲みつつ明日の予定を話す。
「明日は天候は快復するそうだよ。みんなで滑りに行こうか?」
涼さんの提案に私達も賛成した。
「そうと決まれば、明日に備えて寝支度しましょ!お風呂場案内するわ!ここのお風呂は凄いのよ!」
そうして、男子と女子に別れて向かった先は旅館かと間違えそうな程の大浴場だった。
しかも、天然温泉引いてるらしい……。
「個人宅に温泉引かれてるってだけでも凄いのにこの広さ……」
思わず絶句していると、智子さんが笑いながら言った。
「私も初めて見た時は咲ちゃんみたいになったわ。お母さん曰く個別に入るより温泉は広いお風呂で入るのが一番なのよ!だそうよ」
それは、一理あるなと思ったのだった。



