「どうしよう、美味しすぎて食べすぎた!」
私が叫べば、向かいで春子もうなずく。
「これは、この美味しさは凄かったから仕方ない。けど……」
「このままだと、年明け体重計に乗れない!」
と春子とふたりで表情に焦りが出る。
このまま紫乃さんのご飯では確実に食べすぎる日々だ。
美味しくて、手が止まらないんだもん。
「いや、ふたりとも細いんだから大丈夫だよ」
里田くんがフォローを入れてくれるも、そこにクワっと喰い返したのは春子だ。
「女子ってのはね男子とは燃費が違うから日々かなり気をつけてるのよ!ちょっとの油断が大変な事態を招くのよ!」
ビシッと音がするほど腕を振って熱弁する春子に私は首を縦に力強く振って肯定した。
そんな私たちの会話の途中でリビングのドアが開いた。
「ふたりとも、大丈夫よ。紫乃さん、栄養士と調理師の資格を持ってるからちゃんとカロリーを計算して作られてるのよ?だから食べすぎたかも位なら大丈夫。ね、紫乃さん?」
やってきたのは涼さんと智子さん。
お仕事が終わって夜合流ということだったので、ここでの登場には驚かない。
そこに紫乃さんが顔を出して言った。
「はい、左様にございます。チーズは糖質カットカロリーハーフでございますし、油も極力使わず蒸して煮込んで仕上げましたので」
にっこり伝えてくれた紫乃さんが女神様に見えたのは、女子組ならではだったと思う。



