車が発車する。
次は里田くんと春子を迎えに行くとかで、ふたりは学校の最寄り駅で待っているという。
「私も、そこに待ち合わせで良かったのに」
そう言えば、悠くんは素早く返してきた。
「それは無理!咲ちゃんのお母さんにちゃんと挨拶しないといけないからね」
確かに、家族以外と年越しを一緒に過ごすなんて初めてのこと。
でも、お世話になるのは私だしそれなら私も悠くんのお母さんに挨拶するべきなんじゃと思っていると。
「大晦日には、両親と兄貴に智子さんも合流するから」
なるほど。
その時にちゃんとご挨拶しようと、私は心に留め置いた。
そして、はたと気づく。
今の会話、あっさりと言っていたが、家族全員に婚約者、私たち友人や彼女三人に手伝いさんが一人……。
別荘って、言ってたけれどじつはこの間の洋館レベルに豪邸なのではと予測が頭を過ぎる。
やっぱり、ちょっと感覚やらスケールの違いにあたふたしそうな予感しかないのだった……。
春子と里田くんが合流してからは、お茶を飲みつつお母さんが持たせてくれたアップルパイを食べつつ和やかに過ごした。
二時間後、休憩にサービスエリアで車を降りれば移動してきただけあり外の寒さが違った。
「うわ、やっぱり寒さが違うね」
「ほんとね!やっぱりこっちは寒いわ」
これから向かう先は、別荘地として有名どころ。
冬は近くにスキー場もあるし、温泉なんかもあるらしい。



