食べやすいようにカットされたそれを、見つめて悠くんは嬉しそうにお礼を言う。
「ありがとうございます!咲ちゃんから、お母さんのアップルパイは絶品なんだって聞いてて。嬉しいです」
にっこり笑う悠くんに、お母さんは嬉しそうに返す。
「あら、そうだったの?作った甲斐があるわ」
会話の合間に運転手さんが私が持ってた荷物を持ってくれてトランクに入れてくれた。
しかし私、みんなで行くよとは聞いていたけれど迎えに来る車がリムジンになるとは思ってなかったよ……。
普通車にはない長い車体の車を見て少し、遠い目をしてしまったのは仕方ないだろう。
普通の住宅街にあるとこの車は目立つ……。
「咲ちゃん、どうそ?」
招かれて乗り込むとそこは広く取られた空間に、座り心地のいいシート。
そこに、ふかふかのマットまで敷かれてて至れり尽くせり。
小さな冷蔵庫まであり、正しくセレブの乗り物だった。
こんなに内装がキラキラなのは初めてでちょっと身の置き場に困って縮こまってしまう。
そんな私に隣に座った悠くんが、少し笑うと言った。
「慣れない?豪華すぎる?でも、今回は里田や山路さんも一緒だから楽しく話しながら行くには良いかと思ったんだ」
うん、その発想でこの車になるのが育った環境の差になるのかな。
いつか慣れる日が来るんだろうか?
当分は無理な気がする……。



