「咲ちゃん、行くよ」
「了解!」
そうして、そこにある食べ物を自然に取りつつ私と悠くんは仲良く食べ始める。
そこに声をかけてくるおじ様やお嬢さんたち。
「悠くん、久しぶりに見たらすっかり大人になったね。そう言えば、うちの娘は悠くんの一つ下なんだよ。ほら、挨拶なさい」
「初めまして、坪内繭です。悠さんのお隣の方は?」
不躾な視線を投げたまま聞いてくるお嬢さんに私はニッコリ微笑んで返す。
すると、そんな態度でこられると思ってないお嬢さんはちょっと驚く顔をした。
「彼女は両親も認めている僕の彼女ですよ。母もえらく気に入っていましてね。もう我が家の一員だと。僕が惚れ込んでますから。我が家は僕の気持ちを汲んでくれてますからね」
にこやかに、言い切る悠くんにおじ様もお嬢さんも為す術なく退散に追い込まれた。
それを見ても懲りない人が数人いたが、同じような感じで撃退されていった。
結構あっけないなと思っていたら、そこに強烈なタイプがやってきた。
なんと、悠くんにくっついてきたお嬢さんが居た。
そして、私にはきつい顔をしてこう言ってきた。
「あなた、うちの学園の特別奨学生でしょ?一般家庭のお嬢さんは引っ込んでなさいよ!」
ほう……、面白い。
私は、ニッコリ微笑むと悠くんに言った。
「悠くん、いつまでその腕触せてるのかしら?」



