しっかり私の隣にいる悠くんには、私が雰囲気に飲み込まれそうなのが伝わったみたい。
「咲ちゃん。今日はずっと隣にいるから大丈夫だよ。咲ちゃんも俺から離れないでね」
その言葉にうなずく。
すると、私たちの後方から声が掛かる。
「おや、悠くんじゃないか。大きくなったね。そちらのお嬢さんは?」
そう聞いてきたのは、悠くんのお父さん世代のおじ様様。
「鏑木のおじ様。お久しぶりです。彼女は僕の大切な人です。父や母にも紹介しましてね、今日はここに招いたんです」
悠くんの言葉に、鏑木さんと呼ばれた人は優しく笑って言った。
「そうか、悠くんもそんな歳になったか。私も歳をとるわけだ。今日は大変だろうが、頑張れよ!」
悠くんの肩を言葉と共にポンと叩くと、鏑木さんとはそこで別れた。
悠くんが少しホッと息を吐き出したのがわかる。
「今の人は父とは学生時代からの友人で、今日来た中では良識人なんだ。これからちょっと嫌なこともあるかもしれないけど、絶対守るから」
その言葉は力強く、私は笑って答える。
「大丈夫、何となく覚悟してきてるから。ちゃんと隣にいるからね」
私の返事に悠くんは笑うと、しっかりエスコートの状態になって部屋の隅から移動を始めた。
目指す先には、年頃のお嬢さんを引き連れてるおじ様たちが居た。



