悠くんの運転で向かった先は、それは広い敷地にある立派な洋館だった。
「ここが悠くんの家?」
見上げて、ポカンとしてしまう。
こんなに大きなお屋敷。
しかも洋館と言えるものは初めて見た。
それも、これ個人宅……。
美術館とかそういうんじゃなく、個人宅である……。
しかも、高級住宅街の一等地に隣りが分からないくらいのお庭付き……。
本当に私がお相手でいいんだろうか?
間違ってるような気がして仕方なくなってきたところに、声が掛かる。
「悠!着いたなら早く入ってらっしゃい!お嬢さんが冷えてしまうわ」
そう、声をかけてきたのは綺麗にアップに髪をまとめて真紅の綺麗なドレスに身を包んだ悠くんそっくりな女性。
もしかしなくても、これは間違いなくお母さんだ。
「そうだね、中に入って紹介しないとね」
ニッコリ笑いながら会話する親子を見て思った。
これは、性格も似ているんじゃないかなということに……。
中に通されると、そこはそこは木目が温かい雰囲気を出す落ち着いた空間が広がっていた。
客間であり、ティーサロンといった感じのお部屋に通されると私は悠くんとふたりソファーに座った。
お手伝いさんがお茶とお菓子をテーブルに置いてくれて、そこにお母さんとお父さん。
それに悠くんより少し大きな感じで、優しげなお兄さんと寄り添うように同じ年代の女性が居た。



