「あのね、私。谷村くんと付き合ってる。だから、前に言ってくれた里田くんにはしっかり自分で伝えなきゃって。里田くんとは付き合えない。ごめんなさい」
私は言い切ると、頭を下げた。
卑怯だとは思うけど、里田くんを真っ直ぐ見ていられなかった。
「何となく、分かってたんだ。山野さんはきっと谷村がいいんだろうなってことは。好きだから、見てて感じてたよ」
私はその言葉にハッとして顔を上げる。
「だから、こんな日が来るのも何となく分かってたんだ。でも引くに引けなくてあがいてたんだ。でも、それも今日までだね」
悲しそうに笑ってる里田くんに、私はなんと言えばいいか分からなくなる。
そんな私に里田くんは言った。
「まだ、しばらくは好きだと思う。そう簡単に気持ちは消えないから。でも避けたりはしないで欲しい。ちゃんとクラスメイトに戻るから」
その言葉に私はうなずき、返事をする。
「うん。私も気まずくなるのは嫌だし。避けるようなことはしないよ」
私の言葉にうなずくと、里田くんは言った。
「谷村と仲良くやれよ。まぁ、谷村はずっと山野が好きだったからな……。きっと大丈夫だろう」
背を向けて言われた言葉に少し驚いたものの、昨日の行動などから確かに悠くんは私に甘く、優しいし、すごく考えてくれてる。



