「あれ、言ってなかったっけ?うち、谷村証券なんだよね」
それを聞いて、……ハイ??!と声が裏返ったのは言うまでもない。
谷村証券は日本で有数の証券会社で古株で歴史もありつつ、信頼と安定感のある企業である。
証券会社としてはかなりの大手。
そこのお坊ちゃんだったのか……。
「まぁ、俺は次男坊だからいずれトップに立つのは兄貴だけどね。だから高校入ってから社会勉強だって実は自分でも株とか色々やってて、そこそこ収入はあるから心配しないで!」
うん、なんかかなりかけ離れた世界観が来たので私はうなずくにとどめた。
「それでも、それは悠くんがしっかり考えて得たものだから私に使い過ぎないでね、お願い!」
そう言うと、悠くんはちょっと残念そうにしつつ言う。
「咲ちゃんに似合うものや、好きな物は気にせずあげたいのに……」
「だって、私は普通の家庭の子なの!おこずかいは月一万円っていう感じなの!今日の今までの分だけでも心苦しく感じるの!」
私は精一杯伝えた。
貰うばっかりじゃ平等でない気がするから。
こういう所が可愛くないんだろうな。
可愛い子はここでお礼だけに留めるだろうし、強かな子は強請るんだろう。
どっちも性にあわないし、私には無理だ。
「咲ちゃん、じゃあこれ見て?心苦しく感じることはないってわかると思う……」



