「お前さ。何でそんなに食べられたいんだよ」

どんな下らない事情でも、聞いてやるべきかと赤ずきんを正座させた。

「……好きな人のファンの子に、ネットで中傷書かれて。その好きな人と私は幼なじみだから、いつも一緒にいるし」

思ってたより重そうな事情だった。

てかネットって何?

「学校でも、机に落書きされるし」

「あー、それはやだよな」

自分がやられて嫌なことはするなという常識が、残念ながら通じない人はいるだろう。

狼(獣)の俺達だったら、こそこそせず殴りあって解決するけど。

「その後、ムカついたからそのファンの子達の黒歴史をネットで流して、顔も晒したけど」

えげつねー!

「お前結構酷いな」

「その後、もう何もかも嫌になって。自殺しようと思ったんだけど、せっかくだから、誰かの一部になってみるのもいいかと思って」

それが、俺に食われることなのか。

「でもなー………」

「赤ずきん!」

俺が頭を抱えると、後ろから声がした。