『車と違ってシートベルトがないから…』



彼の説明を思い出しながら、私は必死で左腕を掴んだ。


“ 自分の腕ではない…?! ”


左腕はそれでも反発し、右手から抜けようと暴れる。
左腕を離したら、バイクから確実に落ちる…!!



私は無言のまま、一人、自分の左腕と戦っていた。